100万貯めて人生を変えよう・②
支払いの形
取引形態が外注業者であることから当カウンセリングルームスタッフも、それぞれ「外注」という形で入ってもらった。
一部屋仕上げ、普通部屋・大部屋で受け取り価格が変わる。
各スタッフの出来高を計算して一人一人現金で支払っていた。
聞くところによると一般的には2〜3割(もっと搾取している業者もあるようだ)の手数料を引いて働き手に渡すようだが、私は皆に清掃会社から支払われた金額をそのまま渡していた。
ただし、諸々の事務手数料として、9%だけ引かせてもらう事にした。
1万円の支払いなら900円バックしてもらう形である。
人が好過ぎる
ある人に 「人が好過ぎる」そう指摘されたが、
・貯まる喜び
・自由に使えるお金
それは、心も自由にしてくれる。 なんせ、"心理療法" なのだから。
一円台は繰り上げ。
1万2,344円なら1万2,350円に。 加えて夏・冬にほんの気持ちの クォカードを添えていた。
面白いもので、初回 「えー、いいんですか、もうちょっと手数料を取ってもらった方が」、クォカードもビックリされていたが、当たり前になってくるとお礼の言葉もいつしか、、、。
お礼の言葉を求めてはいなかったが、「慣れ」というものは、こういうもんだなと感じていた。
ただ一人
ただ一人、ずっと 「先生、それでは先生がしんどいだけでしょう」と、気遣ってくれる人がいた。
そういう人と縁を持てた、と言うだけでも やって良かった企画だと思っている。
その彼女、現実をしっかり生きており、経済・金銭感覚に対して「甘さ」を感情から見事に切り離している。
"お金"に辛酸をなめさせられた、その経験が彼女を 流されない人 に育て上げたのだろう。
未経験者なら
初めての経験は誰しも慣れるまで「しんどい」の日々が続く。
ヘッドメイク、簡単そうに見えて これがなかなか泣かされる。
手先の器用・不器用、センス、勘の良さ等が個人差にどれ程の影響を与えるのか、体験して初めて分かる。
・ ピロー(枕カバー)が綺麗に入らない
・ シーツの三角折、三角にならない
・ デュベカバー(布団カバー)、波打ち、サーフィン出来るか、と思う程の仕上げの汚さ
こんなにも不器用なのか、と逃げたくなる。
もちろん個人差はあり、呑みこみ早く上手にこなせる人もいる。
が、往々にして30分仕上げの部屋なら、未経験者 2時間ほどかかる。
合格ラインには気が遠くなるほどの心的距離。
大体2ヶ月ほどで一人前になる、と言われているが、そこに至るまでに心が折れる。
1日の仕上げ数、3〜4部屋出来たら上出来である。
当然 客のチェックインには間に合わない。
助っ人に回るのに当初 走り回っていた。
助っ人に入った部屋は、全てスタッフが一人で仕上げた形にしてあげていた。
慣れるまではミスも多い。
ミスでルームチェンジになった部屋は、掃除代請求せず、当カウンセリングルームが負担し、スタッフには完成した形で支払っていた。
それが分った時、「これからはルームチェンジになった部屋は自分の戒めにもなるので引いて下さい」
と言ってもらえ、しみじみ嬉しいと思った。
「そんなもの見越しての契約金額でしょう。 相手は自分とこが損する形には絶対しないから堂々と請求したらいいんですよ」
現実派の彼女は言ってくれたが、
「いや、慣れ は緊張が緩んでミスを誘発するから これは自分への戒めやと思っている」
「先生が そう言うなら私もルームチェンジになった部屋は引いて下さい」
今 振り返ると有難い言葉をもらっていたんだと実感する。
一人一人の個性が
たった8人ではあったが日頃会っている場と違う環境で彼女達に接すると、まだ見ぬ彼女達の "素" の部分にも出会わせてもらえた。
口下手、手を抜く、いや手間を省く事がなかなか分からない、その不器用さが宝と感じさせてくれる誠実な人。
誠実そうに見えるが、小狡さを持ちながら、その自覚がない人
プロ意識が強く、妥協を一切許さない人
ネパール人に関しては知人から
「ネパール、気ぃつけや アイツら平気で嘘つきよる 金の為やったら噓なんて何とも思とらへん」
スタッフとして入ってくれていた一人のネパール人Sちゃん。
今時こんな奥ゆかしい女性がいるのか、口数少なく素直で動きも素早く仕上げが これまた美しい。
日本人の半分程の時間で仕上げる。
流れるような動き、手の早さ。
いい人が入ってくれたと喜んでいた、が、面接で彼女が言っていた事が嘘だと判明。
嘘をつくような女性には全くもって見えない。
お金の為なら平気な嘘
Wワークはしておらず、当カウンセリングルーム1本だと言っていたが他と掛け持ちをしていた。
それを確認すると、「大丈夫、今月一杯で そこ辞めるから乾さんの所で働く」
もう一方の所は中抜きが大きく手元に入るのが少ない。
私は そのまま渡すので彼女にすれば 当カウンセリングルームは美味しい話だったに違いない。
学生で来ているので週に働く時間も上限が決められており、それも嘘をついていた。
「乾さん、気ぃつけな逮捕されんで」
とは、こういう事だったんだ。
「嘘をつく人は働いてもらえない」伝えるが なかなか納得せず、ようよう諦めてくれた。
支払日、〇月〇日〇時、約束していたにも関わらず、連絡なしのドタキャン。
10日程して電話で、「今から取りに行く」約束守らなかった事、悪いという自覚がなく「今ホテルの前にいる 待っている」
まぁ、こんな事もあるだろうといつでも渡せるように用意していた。
渡しに行くと、「乾さん、明日から私又ここに来る」
もう ここまでくると "お見事" と感じるばかりである。
嘘に全く罪悪感がない。 それどころか嘘は最強の手段である。
嘘、という概念そのものがないのかもしれない。
ある意味、その図々しさや逞しさは見習っても良いんだろうな。
融通が利く裏では
常勤の一人を除いては、皆 自由出勤。
働きたい、自分の時間が取れた、なのでシフト入れて下さい。
働きたい時に働ける、その自由さも喜ばれていた。
こんなに融通利く所、他にない、と。
その分、私が裏で会社側と交渉していたのではあるが。
常勤で撤退するまで勤め上げてくれていたYちゃん。
後半は一部屋30分以内に仕上げられる実力を身につけていた。
シーツに苦しみ、ピローに苦しみ、デュベカバーに苦しみ、ネパールちゃんの動画を食い入るように見続け研鑽を怠らなかった。
結果、見事なベッド。
ピンと張った布団、ゆるみの無い枕、ただ ただ凄いと感服させられた。
努力は裏切らない。
穏やかで、決して前に出る事なく、さり気ない気配り、誰もが彼女を「出来た人」と表現する。
それでいて、芯の強さ・揺るがない考え。
どこにそんな強さがあるのか、と不思議な程。
聞いた。
女は弱し、されど母は強し
母になる、それは静かな強さを彼女に与えたのか。
彼女の夫がウツ状態になり、10年以上家で引きこもり生活。
小学生の息子2人を抱え生活費もかさ張るばかり。
彼女が外で働く事に。 しかし、パート収入で得る額では家計を支え切れず、貯金を崩し保険を解約し、お金に変えられるものはすべて出し切った。
なぜ離婚しなかった?
「親の反対を押し切って結婚したから。 帰る家がなく、どこにも行くアテがなかったから」
逃げ場のない日々、パートに出ている方が気がラクだったかもしれない。
妻がパート・子育て・家事をしていても夫は寝ころんだまま。
息子が 「お父さんは何でいつも寝てばかり?」 と聞いても 「うるさい!!」時には手が出る。
そんな時、何か口をはさむと余計に逆上して、内心では自分に向けられた怒りを暴力という形で家族に向ける。
耐えるしかなかった。
女は本当に弱いのだろうか
「弱き者よ 汝の名は女なり」
こんな言葉を聞いた事がある。
女は本当に弱いのだろうか。
筋力差はある。 それが暴力という形で向かって来られたらまず男の力には勝てない。 それを除けば後どれ程の弱さがあるのだろう。
精神的な強さ、耐え抜く力、一旦女が開き直ると、そのしぶとさ、男以上だったとサラ金時代、集金に駆けずり回っていた経験から学んだ気がする。
彼女も耐え抜いた。
身体を壊していた夫、妻、子供達、もう楽にしてあげようと天が決めたのか夫、空へ旅立った。
それからもパートを続け子供達を養い、子供達も家庭を持ち、いつしか孫を持つ環境になった。
そんな時に私からの ホテル客室の誘い。
「えー、私に出来るかなぁ」と言いながらもすぐに次の休日から来てくれた。
初日、終了時には言葉も出ないほど、疲れ切っており目も虚ろに。
しかし、「うん、しんどいけど何か楽しい。 こんなん、やった事なかったし ずっと座ってる仕事より、身体使う方が好きやし けど、ほんまに きついねぇ」
あら、ステキなご感想。 嬉しいやん。
そうか、彼女Yちゃんの強さは ここにあったのかもしれない。
どんな出来事にも、しんどい・辛い・痛い、現象から来る事実をごまかす事はないが、そこにグチ・文句は入らない。
また、へんに 「大丈夫」等、一般的な返しも無い。
しんどそうだなと感じた時、「ちょっと5分位座ってて」と伝えると、「うん、そうさせてもらうわ」と素直に受け入れくれる。
彼女といると皆ラクなのは自然体で過剰な適応をしないからなんだろう。
ラクな人の傍はラクである。
加えて彼女は人の噂話もしない。 影口や悪口にも興味がない。
着実に、実力を伸ばしていき手取り20万を超えるまでになった。
「こんなに貰ったの初めて!!」と、それはそれは目を輝かせて言ってくれた。
この企画を実行して本当に良かった、私も彼女から嬉しさをもらった。
他のスタッフ達からも「楽しい、乾さんとこ来て」 「なまった身体、ここで筋トレしながら お金貰えて一石二鳥」 「ここに来てたら嫌な事 思い出してる暇もない」 等嬉しい言葉の数々をもらった。
そんな言葉達、私を包んでくれた現象も "今は昔" となってしまったが、客室清掃で実力を付けられ自信にもつながりYちゃん、今は老人施設の掃除スタッフとして勤めている。
「客室清掃、経験したから、それよりまだ しんどさマシやし、まぁ、あれ程は稼がれへんけど。」
自分が、自分の力で稼ぐ。
起業家や歩合制の仕事でない限り、パートでは味わえない事である。
Yちゃんの人生の物語りに "客室清掃" が加わった事はきっと"彩り"となってくれているに違いない、そう思っている。
100万円ためて人生を変えよう
100万円貯まった人、途中の人、撤退しなければ確実にたまった人、それぞれではある。
出来事としては小さな企画であるかもしれないが、"心理療法"としてはどこにも類を見ない「乾眞澄リラクセリングルーム」だけのものであったと自負したい。
さて、次は どんな企画を練り実行しようか。・・②完


小説を読んでいる気がしました。
先生、すごいなぁ~
生き方が…
男前!
Yさんも根性あるなぁ~
みんな一生懸命生きていらっしゃるなぁ~
今朝は、早起きして先生のblogを読ませて頂いて…
さぁ!私も頑張るぞ!
生きるぞ!
と、力を頂きました。
ありがとうございました。
嬉しいコメント、ありがとうございます。 私も先生のコメントで、よっしゃ!! ブログ何とか週1本は、と言い聞かせております。
言い聞かせ倒れにならなければいいのですが、、。