苦楽分☆彡怒喜怒喜
怖い、、、
"分からない"、 分からないから不安でしかない。 今 身体で感じている。
これで間違っていないはず。
もらった地図通りに歩いて来たのだから。
倉橋
「そこはお前の好きな場所だろう お前が何時か行ってみたいと言っていた、その景色に近いものを お前なら感じ取れるはずだから」
湿気を孕んだ空気は今にも霧に姿を変えようとしている。
でも 嫌いじゃないな
怖れに負けず劣らず背中を押す好奇心を道連れに、確実に歩を進めている。
時折吹く風に竹が舞う。
20時過ぎ、霧の竹林を歩く独り占めの景色。 悪くはない。
気のせいだろうか。
微かに金属音が聞こえた気がした。
いや、気のせいではない。 やはり聞こえる。
"ウィンドチャイムが目印"
そう倉橋は言っていた。 なら間違っていない。
安心すると歩が早まる。 気持ちが昂る。
あった。
短い物でも30cmはあろうか。 6本の幅広い円筒から どっしりした重低音の金属音が程よい音量で耳に入ってくる。
それは脳内でサラウンド効果を起こさせ、頭上からつま先まで全身を包んでくれる。
目を閉じ、このままずっと揺蕩っていたい。 感じていた。
静かに扉が開き、 「どうぞ」 穏やかな物言いでママが招き入れてくれる。
襟ぐりの開いた白いブラウス、黒のタイトスカート、年齢不詳の落ち着いた女性。
シニヨンのうなじが美しい。
細いが華奢ではない。
間接照明の中、前を歩くママはどこか異国の地を案内してくれるような錯覚を起こさせる。
「"今夜8時過ぎ、育美が行くからよろしく" そう倉橋さんから連絡を頂いていたの」
妖艶とも可愛いともとれる微笑みでカウンターに立ち、私をじっと見つめる。
「何から始める?」
「ヘネシーのロックを」
「ヘネシーのロックね」 ワイン色の唇が小さく動く。 自然な復唱。 そういえば ママ 心理学にに精通していると倉橋が言っていた。
「ガムラン?」
「育美さん、お好きじゃないかと思って」
倉橋はママになにを話したのだろう。
低い重低音の余韻が安らぐ。
ガムランの雅さは日常を遠ざけてくれる。
暮れる前の夕焼け空、黒を含んだ茜色に近い照明が壁を活かし、ママの神秘性に磨きをかけている。
苦楽分☆彡怒喜怒喜
「どうぞ」
木製のコースター。 中央にユニコーンが描かれている。
店の雰囲気に似合い過ぎている。
「ステキなコースターですね」
「ユニコーンを追いかけている蠍もあるわ。 そういう星座を夜空に輝かせたくて」
そう言いながらユニコーンの上に そっとロックグラスを両手で置いた。
「ママも何か」
「ありがとう 私は育美さんと同じ物をストレートで頂くわね」
「お強いんですね」
「何となくね、今夜は粘膜に熱を持たせたいの」
粘膜に熱を持たせたい・・・好きだな、その言い回し。
そう言って、ワイングラスにヘネシーを注ぎ込んだ。
1/3ほどの高さで注ぐのをやめ、琥珀の液体を愛しそうに眺めている。
「それでは」 と言ってワイングラスを軽く持ち上げ口元に近づけ一口流し込む。
ティスティングを見ているようである。
「ママ、なぜ クラブ☆彡ドキドキ?」
「ねえ、育美さん。 苦しみと楽しみを分けているものって何かしらね。」
「怒りは苦しみでもある。 苦しみ過ぎて怒り狂いたくなる時もある。 怒りや苦しみに共通しているものって何だと思う?」
「不安、、怖れ、、疑い、、痛み とか? どちらも感情に支配されているような、、、」
アフロス
「そう、 今ちょっと面白い現象が起こっていてね、この私達のやり取りを書いている イヌイという心理カウンセラーがいるの。 当初 考えていた事と全く違う方向に私達のやり取りが進んでいるから、どうしたら修正出来るのかと苦しんでいるわ。」
「?・・・」
「好きな事を思いつくまま文字にするのは、そう日記ね、日記なら書きたい事を書きたいまま何ページもダラダラ書くのに、私達のこれって物語りを書こうと決めて創作活動に入ったから、多少構想はあっても、無から有を生み出すのって、そりゃあエネルギー要るわよね。 今凄く苦しんでいるみたいよ。 どうする? 育美さん、助けてあげる?」
「ママ、何言ってる? 訳が分からない、、」
ヘネシーのワイングラスを間接照明にかざし、
「アフロス、どうする? 今 筆が止まっているんでしょう?」 独り言のように問うた。
「ママ、アフロスって? イヌイさんって言ってなかった?」
「そう、イヌイ=アフロスなの だから育美さんもアフロスって呼んであげてね」
ママが意志を持ち出した。
私を呼んでいる。 私に問いかけている。
私の苦しみはママにとって想定内だったのか。
私にとっての想定外の展開は、ママの掌で転がされていたという事なのか。
なぜ、こんな現象が起こったのか。
多少 物書きじみた事をしてはきたが、一度も経験した事のない、夢か魔法か奇跡のような時間が私を物語の中に巻き込もうとしている。
ならば、ママに身を委ねてみよう。
ママは私を何処に連れていってくれるのか、起承転結、どう味付けしてくれるのか、そして新しい私(イヌイ)を生み出してもらいたい。
「ママ、今から私も参加するわ」
① 続く


土器土器します。小説家に転向されたのかと思いました。
堺様
コメントありがとうございます。
小説っぽくなっていましたら嬉しいです。
今後 どんな展開になっていくのか 私もドキドキです。
霧の中にさ迷いこんだ感じ・・・ドキドキしながら引き込まれます。
そこに、「育美さん、お好きじゃないかと思って」って柔らかな言葉で、包み込んでくれる言葉があって
ますます 不思議な空間
お酒を酌み交わしながら・・・何やらはじまりそう
「私にとっての想定外の展開は、ママの掌で転がされていたという事なのか。」
えっ、なになに・・・
お見通しってことなのか・・・
ソワソワ
つづきが待ち遠しい・・・
森本先生
嬉しいコメント、ありがとうございます。
やっと何とか①を書き終え、ホッとしているところです。
ホッとし過ぎて、また筆が遠のかないようせなアカン、アカンと思いながら、、。
長い目で見てやって下さいね。
うっ、うっ、うっ。