時を遡る事、30年と少々。
心理カウンセラーになりたいと、ある専門学校に通うことにした。
父亡き後、姉や親戚、助けてくれる人達と家業を何とか整理し、「自分のこれから」を考えた時、何もなかった。
これから どうしよう
どうして生きていこう
何も見えないままの日々。
焦りだけが、私を飲み込もうとしていた。
どれ位、その時間が続いただろう。
ある日、新聞の三行広告に ”心理カウンセラー、受講生募集” の文字を見つけた。
新聞ぐらいしか情報の無かった頃、すぐに電話した。
「心」に興味があった。
中学時代、担任が目の前で催眠を見せてくれた。
被験者は、体重40㌔そこそこの、か細い華奢な女子。
頭に置いた手が離れない。
力のある男子が、その手を引っ張ろうとしても離れない。
どころか、女子の身体が持ち上げられてしまう。
折れそうな位 細いその手のどこにそんな力があるのか。
もう、びっくりである。
その時の衝撃、今尚鮮明に焼き付いている。
思春期で感性豊か、いや未熟だったからかもしれないが、あの驚きを超すほどのもの、思い出す限り まだ出会えていない。 多分。
これは一体 何なんだろう
何故、こんな事が出来るんだろう
担任は言っていた。
「頭が良くなりたい者は俺の所に来い。 催眠で良くしてやる。」
行っておけば良かった。
催眠、かけてもらえば良かった。
好奇心の塊のクセに怖がりである。
「何となくの不気味さ」と、恐怖心に負けた。
あぁ、勿体ない、、、。
三行広告を見た時、瞬時にその時の記憶が蘇った。
過去が、今の自分に取り付いた。
電話で確認する。
「私、大学出ていないんですが、それでも受講出来ますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
詳しく内容を聞き、申し込む。
勉強に打ち込みたい。
その為には就職という形より、パートの方が融通が利くだろう。
早速、新聞のチラシ、何枚もの求人広告隅から隅まで、目を通す。
その中に1つに目が釘付けになった。
「よし、ここだ! ここにしよう!!」
地元にケーキ工場があるなんて知らなかった。
洋菓子 大好きな私。
ケーキの香りに包まれて仕事出来るなんて、なんて幸せ。
早速 電話。
面接の日を教えてもらい、当日 ドキドキとワクワクを携え面接に向かった。
TACカウンセリングルーム
大阪・北浜の心理カウンセラー乾 より