5)sへの応援歌・第一章  

⑤   黒猫・来たる

2016年夏、暑い盛り、1匹の野良猫が四国で子猫を産んだ。  その中の1匹、黒いオス子猫が海を越えてSの家にやって来た。

私の記憶によると、当時のS、夫への不信感・何かというと反抗してくる長男 (塾さぼる、嫌な事は避け母であるSに尻拭いさせる、嘘をつく、ちょっとした非行等) 

父と何かと喧嘩し、イライラをまだ3歳の弟にちょっかい出す事で憂さを晴らしていた。弟は訳が分からず、泣きわめく。

加えて、家計も自転車操業状態。  月末の各支払いに対し、夫の給料は月明けてから10日までのいずれかに支払い。  月末の赤字をSの分で補ったり、借金をする、それの繰り返しで月末になると心労で気が重くしんどい、焦りが出る。

それを夫に伝えても、足らないはずがない、何でそんな事になるんやと、一方的に責められる。

家計簿、どうなってるの?

聞くと、「数字が苦手で続かない、家計簿つけるの面倒で面白くないんです。」

あらあら、キミ、それはアカンやろ。  なら、簿記 やってみる?

「難しくないですか?」   

大丈夫、Sちゃんには簿記の方が合っているよ。  心理学教室が簡易簿記教室に。

振替伝票からちょっとした貸借対照表作成まで。

学ぶ事の好きなS、やはり食いつきが違う。  知らない言葉を知り、楽しくなってくる。  そして、何が無駄かを検証していった。  ん?  なんか、保険払い過ぎ?

しかし、私は保険の事は分からない。

無駄を省くためにプロの力を借りる事にした。  保険会社勤務の小松さん。

仕事に対する姿勢が真摯であり、お客様は当然の事、家庭も大事にされている。  この方になら生徒さん任せても大丈夫だと お願いする事にした。

快く引き受けて下さり、最近Sから聞いたところによると、Sの次なる目標のために保険解約した時も、嫌な顔一つせず、応援の言葉もかけてくれたと。

また、語彙力検定も勧めてみた。   知らない言葉を知っていく、使い方が分かる、言葉が豊かになる心地よさ、知ってもらいたい。

何より、勉強している母の背中を長男に見てもらいたい。  S、早速 問題集を手に入れ勉強を始めた。   12月、4級合格!!  長男、「何点?」  「96点」 「なんや、100点 違うんか」

Sちゃん、いいよ、1級とるまで受け続けたらいいだけやから。

と言っていたら、語彙力検定 終わってしまった。 何級まで受かったのか、SはTACの行き帰りの電車で ずっと勉強していた。 そうして時間を工面していた。

因みに語彙力検定で、円安・ドル高の問題があり、それが分からないと、授業の前にちょっと聞いていいですか?   今度は経済?    加えて書かせてもらうと、その後論文の書き方も、かなり時間を割いた。

ここ、心理学教室やよね?  と笑いながら。

多少、気は紛れ、ラクになっても家庭は何も変わらない。

ギスギス・イライラ、気が休まらない。

そんな時、知人から 「誰か猫 飼ってくれる人いない?」   

よっしゃ!!   猫や!!  猫の力、借りよ。

Sちゃん、猫 飼おう。   反対されても、押し通しや、私は何が何でも猫が欲しいって。    夫は大反対。 長男、訳分からず、なんか言い出した位に受け取っていたんだろう。

Sちゃん、よく聞いてな、ここ 一番大事、長男に 猫の名前つけてもらって。  そこは夫がつけるって言っても、必ず、長男につけてもらって。

そして、長男がつけた名前に、一切 文句言わないように。  もっと他にあるやろって思っても、そこは何も言わんと、その名前にしてあげて。

で、冒頭に記したように、子猫 Sの家にやって来た。

子猫の力は凄い。   反対していた夫、可愛がる、可愛がる。  生きたぬいぐるみの魔力に皆 虜になってしまった。  バラバラな家族の気持ちを、その小さな命に集中させる。

“ただ、居る   そこに命している”  それだけで張り詰めた空気を丸くしてくれる。

か細く、弱々しかった黒い子猫、大切にされ過ぎ、メタボ気味で、今やお腹を揺らして歩いているらしい。   しかし、魔力は衰えず、太猫になっても皆の気を抜いてくれている。  立派な家族、末っ子として存在している。

Sも、トラッキー (長男がつけた名) いてくれて救われます、気が晴れますと。

猫も凄いが、何とかしたい一心で 行動にすぐに移してきたS、貴女が凄いんだよ、記しながら改めて感じている。

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