2)Sへの応援歌・第一章

②  授業で

心理学に興味のあったS。  知らない事を知る楽しさ・心のカラクリが分かるにつれ、目がイキイキ、表情も明るくなっていった。

しかしながら、パニック発作は そんなに簡単に消滅するものではない。

実は、治したい、そのパニック発作こそが、彼女を他の危ない現象から守ってくれている、遠ざけてくれている お守りのようなものだったからである。

それを 伝えたところで、ココロに入学したばかりのSに理解は難しい。

「大丈夫、いつか気がついたら発作、無くなっているからね」伝え続けた。

今、Sは身体でその事を感じている。 発作が出る事は ほぼ無い。  また、出てきそうになっても、それは 無意識からの ”気づけよ” サインであると理解している。 故に、恐怖ではなく、「意味あるもの」として捉えている。

その 「意味」 が分からない時は 質問という形で理解しようとしている。

Sの関心を引いたのは、無意識の領域。

そこに何があるのか、どんなものなのか、それを知るにはどんな方法があるのか。

Sの場合、本人が全く気付いていない、言葉以外の表現 例えば、「それ、笑って言える内容?」  やや笑顔になりながら、緊張を自身で和らげて来たのだろう。  そんな事、本人は全く気付いていなかった。 何しろ、無意識なので、、。

また、夢を用いてじっくり検証した。 

夢の果たす役割・どんな夢を見たか、同じ夢を何度も見るか。

Sは、夢に取り組みだした頃、「蛇」現れる事が、何度かあった。

最近は、肉体の方が疲れ過ぎているためか、寝たと思ったらもう朝になっている、夜 どこに行ったん? 状態である。  ある意味、好ましいとも言える。

子供を見てくれる人がいないと、何度か長男(5歳)を連れて来た。

優しい母、がそこにあった。   しかし、本物の優しさではない。 「弱さ」を優しさで覆っている、そこから来る優しさであった。

いつか、長男はSを苦しめるだろう、見てとれた。  じっさい、6〜7年後、長男、手に負えなくなりだし、新たな問題となってSを苦しめる事になる。

どんどん、心理学の知識を吸収し、心が分かるようになってくると、なんか、こう、もう大丈夫なんじゃないか、という気になってくる。

習った理論で、解決とまではいかなくても、何とかやれるんじゃないか、と感じたりもする。 そんな時期がある。

私にもあったから分かる、その 「大きな錯覚」。

TACの扉を開けた、「その日」 から、Sの心 ラクになっていたのだろう。 何かあったら、また相談に来ればいい、という安心からか、TACから遠ざかる、第一回目訪れ、自然にSは来なくなった。

TACカウンセリングルーム

大阪・北浜の心理カウンセラー乾 より

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