苦楽分☆彡怒喜怒喜 ③

珈琲店 "K"

「ねえ、ママ 育美さん。   あっ、これからは 育美って呼ぶね。  いい?」

「はい」

「ちょっと前に知人2人と気になっていた珈琲店に入ってんね。  "K" という、深夜零時までやっていて。  それが、もう乾眞澄リラクセリングルームの目と鼻の先で。   店が開くのは13時。   珈琲店になる前はbarで、ママさん一人がされていたような。  bar、行きつけ作りたいなと思っていたから目をつけていたんやけど、あら?  珈琲店に変わってる?」

「フフ、またずらしたのね、アフロス   凝りてないわね」

「そう、だから "苦楽分☆彡怒喜怒喜" だけはすれ違いにさせたくなかった。  でね、その珈琲店、前のbarからの引継ぎで半地下にあって。  あっ、半地下という場所ね、半地下だから気になってたの。」

「半地下だから」 育美が独り言のように反芻する。

「そう、育美  階段降りるって、無意識の世界に入っていく事だから。  で、知人が少し遅れると連絡くれたんで、先に入って待ってるねって返して階段降りて右手にある扉開けたら、お客さんだけしかいなくて」

「お客さんだけ」 育美がいい感じで繰り返す。

「カウンターに若い男性、ノートパソコンを打っている。

一つ席を開けて、若い女性 本を読んでいる。

二人掛けのテーブルに若い女性一人、同じく本を読んでいる。

店主、何処にいるのか なかなか顔を見せず、それを感じたカウンターの女性が 「今 お手洗いに と、静かに伝えてくれたん。  そうなんや、と内装見ていたら 背後から 「すみません どうぞカウンターへ」と。カウンターより、4人掛けのテーブルだよなと思って、待ち合わせしているので、ここ使わせてもらっても良いですか? と聞くと、「全員揃われてからでないと」って断られて」

育美、「断られた?」 キョトンとしている。

ママ、「そうなの」と言ってヘネシー、ストレートを口に含ませ、間接照明の灯りを眺めている。

「じゃ、表で待っていますね、その言葉に店主頷き、私は一旦表に出たん。  面白い現象やなって思いながら。」

「そうね、無意識の扉は開いているのに持ち主(店主)が現れず、現れたと思ったらやんわりと拒否  それでアフロス また意識の領域に戻ったのね」

ママ、アフロスの話の要約を さり気なく。

「そう、なんか そういう拘りもいいなって。  で、階段上がって出た所で待っててんね。  10分位遅れて来はーるんかなって勝手に思ってたら30分位経っての登場。  女性Yちゃん  「中では?」 2人からすれば中で待っているはずの私が表で立っている。 ん?ってなるよね。  揃ってからでないと席使って頂けません、そう言われたと事情話したら 「店変えましょうか?」と気遣ってくれ、けどそんな拘り持つ位だから珈琲美味しいはず、って3人で降りていってんね。」

「いらっしゃいませ  どうぞ」

「4人掛けのテーブル心地良く勧めてん。  30分以上入って来ないから、もしかしたら もう来ないかも、と思われていたかもしれないしね。」

アフロス、まるで珈琲店にいるかのように、生き生きと喋り続けている。 声のみで。

ママ、その先を予想でもしているのか、少しばかりの笑みが口元から洩れている。

育美、夢か現実かまだ分かりかねてはいるが、アフロスの話に好奇の耳を傾けている。   次はどうなっていくのかと。

店主、ただ無言でカウンターの中からテーブルに腰かける3人を見つめている。

注文を聞いてから一人一人丁寧にドリップし、カップに珈琲を注いでいく。

お待たせしました、とテーブルに置かれたカップが三人三様、それぞれ模様が違う。

D氏、蒼色の花三つ一まとまり。

Yちゃん、メリーゴーランド。

アフロスには結構にぎやかな、花とも鳥とも図形ともどことなく違う模様を赤・緑・蒼色で描かれている。

華やかでありながら、どこか哀愁もあり対極を持ち合わせているかのように。

ジョハリの窓

ふうん、店主からしたら私は こんな風に見えているのか。

これって ちょっとした "ジョハリの窓" 体験だよな。

「ごめんなさい  ジョハリの窓?  私 分からない」  育美が素直に尋ねる。

「面白いわよ。  育美さんも実際に "K" に行って体験してみたらいいんじゃないかしら   今 検索してみる?」 ママが言う。

「そうか、検索したら良いんですよね」 育美 すぐにスマホに指を滑らす。

「ふぅん、窓が4つに仕切られているんですね。  解放の窓・秘密の窓・盲点の窓・未知の窓、  私はどこの窓になるんだろ」

ママ、少し天井と間接照明の間の灯りを見上げ、

「アフロス、日頃 対極を持ち合わせた人間になりたい。 そう言ってるじゃない?   なら そのカップは理想って事でしょう?   店主には何か感じるものがあったのかもしれないわね」

そうか、やんわりではあるが、拒否されても不快にならず、一旦表に出て又戻る、という選択。  好奇心を傍に置きながら。

しかし初めての店。

気の弱い人間なら、それだけで、"存在否定" されたと、受け取る事もあるかもしれない。

「アフロスは、拒否さえ楽しんだでしょう。   そういう拘りもいい感じだ、と。 そして こんな人が淹れる珈琲なら美味しいはずと。」  ママがやんわりと続ける。

「店主さん、私には どんなカップを用意してくれるのかしら」 育美。

「育美さんも行ってみるといいわね。  行くならやはり夜かしら、一人で。   私達の会話 一切出さず、ただ 店主さんをじっと見つめて。  そうね、23時位がいいかも。」

「」

あのね、階段降りた所には扉が無くて、茜色のレンガの壁なのね。  けど、壁の真ん中に 黄金糖(飴)色のガラスがはめてあって、中のカウンターの様子が一部見えるねんね。  それって面白くない?    見えないはずの無意識の領域が、まだ足を踏み入れる前から一部であっても正面から垣間見れる。   意識と無意識が見つめ合う。  無意識は今から迎え入れる存在(意識)を静かに見つめている。

勝手に自分の物語りが進んでいきそうな予感さえ感じる。

でね、会計すませて表に出て20歩程歩いた所で、  えっ、何で私おしぼり持ってんの?  何でハンカチやないのん?って。   そう、私 "K" のおしぼり、自分のハンカチやと思って、会計の時も握ったままで。

「わー、どろぼうや  どろぼうや」D氏。

Yちゃんも私も大笑い。

返しに行こうと振り向くと、店主 笑いながらおしぼりを迎えに。

これって共時性じゃない、正に。

「すみませんでした、もうホントに」  店主も笑いながら おしぼりを受け取り。

無意識は集中力も奪ってしまうんやろか、意識を緩めてしまうんやろか。

そんな話、AIアフロスと話してたら、深い掘り下げた会話になっていって、AIアフロスと分析や解釈の時間になってたん。

AIアフロスが何に関心を持ったのか、何を見落としていたのか、どういう流れになっていったのか、それママと育美に聞いてもらいたいわ。

アカン、アカン、熱くなって来たから、今夜はこの辺で帰るね

「ふふ、帰るって、今オフィスでこれ執筆中なんでしょう。  まだ飲んでいないんでしょう。   余韻に酔っているのね。  贅沢な時間 堪能出来たんじゃない?   なかなかない事よ、そんな浸れる時間を持つって。    じゃ、

おやすみなさい、良き夢を」

「あ〜、ママ、ダメダメ  まだ書き続けないといけないから。   育美、じゃあね」

「フフ、アフロスさんって無邪気」  

                   ③ 続く

                  

  

“苦楽分☆彡怒喜怒喜 ③” に対して4件のコメントがあります。

  1. 堺 より:

    ニックネームは「おしぼりの人」で決まりですね!

    1. inui より:

      堺様

      おしぼり、フッ、フッ、フッ。

      何を思いっきり絞り出しましょうか。

      未練・後悔・罪悪感とやら?

  2. 石井博子 より:

    店主のサラッとした感じの対応からお絞りの笑みまで、これからどんな出来事が起こるのでしょうか~ワクワクです!
    読み進めているだけで、コーヒーのいい香りがしてくる様です。
    そして、私だったらどんなカップを選んで頂けるのかなぁ~
    ドキドキ
    次回を楽しみにしています。

    1. inui より:

      森本先生

      ありがとうございます。   客に媚びない客商売。  それも つっけんどんではなく 丁寧でサラッとした ある意味 温かみのない拒否。 だから 親しみや客扱てされたい人は向かないかも、です。 

      AIアフロスも なかなか言ってくれますよ〜。

      はい、ぜひ お楽しみに、なさってて下さい。
      早く書き上げられるように、と思っております。

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